相談所講習会 賃貸編を開催いたしました!

平成27年11月10日(火)、(公社)福岡県宅地建物取引業協会業務第二課 山下課長を講師に迎え、相談所運営委員会主催の「相談所講習会:賃貸編」を支部事務所大会議室にて開催致しました。 39名の方にご参加頂きました。




下記の6つの事案についてポイントの説明して頂きました。

(事案1)前入居者が設置したエアコンと修理費用の負担に関する紛争事例

(事案2)下水管からの異臭発生による賃貸解除をした賃借人が、賃貸人及び仲介業者に対して行った損害賠償請求について
(東京地裁、平成23.10.3)

(事案3)賃料滞納による契約解除と残置物の処分に関する管理会社と賃貸人の不法行為責任について
(大阪高裁、平成23.6.10)

(事案4)事務所の賃貸借契約に於ける「敷引特約」と「6か月の解約予告期間特約」の効力について
(東京地裁、平成23.3.26)

(事案5)無断転借人(第三者)の自殺と賃借人及び連帯保証人の責任について
(東京地裁、平成22.9.22)

(事案6)内縁の妻が死亡するまでの黙示の使用貸借が成立しているとして、相続人からの建物明渡請求が棄却された事例
(大阪高裁、平成22.10.21)

各事案の説明後に質疑応答を受け付けましたが、多くの方が質問をされていました。
参加された方、今回都合により参加できなかった方へ事案5のポイントを簡単におさらいしたいと思います。(他の事案は、割愛させて頂きます。)

(事案5)無断転借人(第三者)の自殺と賃借人及び連帯保証人の責任について
賃借人が居室を無断で第三者に転貸借させたところ、第三者が居室内で自殺したことにより、居室の原状回復費用及び新規入居者に対して賃料を減額せざるを得なかった費用として、賃貸人が賃借人に対して債務不履行に基づく損害賠償を請求し、連帯保証人に対しては保証債務を求めた事例において、賃貸人の請求が認容された事例(東京地裁、平成22.9.22)

( 要 点 )
・賃借人は、賃貸借契約上、目的物の引渡しを受けてからこれを返還するまでの間、善良な管理者の注意をもって使用収益すべき義務を負うところ、少なくとも無断転貸等を伴う建物賃貸借においては、目的物を物理的に損傷等することのないようにすべきことにとどまらず、居住者が当該物件内部において自殺しないように配慮することも含まれるものと見るのが相当である。従って、賃借人は賃貸人に対し債務不履行に基づく損害賠償債務を負う。
・連帯保証人は転借人の自殺は予測し得ず、保証債務の範囲に入らないと主張するが、債務不履行と相当因果関係のある損害の範囲にその責任は限定されるから、責任が不当に拡大するものではなく、消費者契約法10 条により無効とされることはない。

宅建協会福岡西支部では、宅地建物取引における消費者保護を図るための取り組みとして、専門知識習得のためのセミナーを開催しております。
今後もどなたにも判りやすいセミナーを企画して参りますので、まだ講習会に参加された事のない方は、是非参加されてみて下さい。

平成26年11月18日  黒江記